まえがき

2007年11月M-1東京予選2回戦の「ワタルwithオカン」の漫才は、ワタルの自己紹介、ワタルwithオカンの結成秘話で始まりました。

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ワタル:「どうも~ワタルwithオカンです。」
オカン:「ワタルは4人兄弟の末っ子で、1985年の11月9日5時45分に生まれました。」
ワタル:「僕は、お母さんと漫才をするために生まれてきました。」
オカン:「あんた何言ってんの~。あんたが友達おらへんから、お母さんが相方になってるんやろ~。」
ワタル:「ほんまのこと言わんでええやんけ~。いらんこと言うなや。」
オカン:「ほんまのことやから、しかたないやろ~!」
ワタル:「うるさいなぁ・・・、オカン!」
オカン:「なんやマザコン!!」

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実の母子であることがそのままツカミとなる実の母子漫才コンビ「ワタルwithオカン」。「偽」「嘘」「騙」が世にはびこり、「絆」の希薄化が嘆かれる今の時代に突如現れた史上初の母子漫才コンビ。この【おいたち】のコーナーでは、漫才を通して「親子のあたたかさ」「親子の絆」を伝え続ける「ワタルwithオカン」の結成から現在に至るまでの真実の歩みを、節目ごとに不定期に更新していきます。

第1章 「ワタルwithオカン」 結成

1-1.png2005年。 甲子園球場があることで知られる兵庫県西宮市のとある住宅街に、のちに「ワタルwithオカン」が誕生する朝野家があります。当時19歳だった朝野亘(以下:ワタル)は、最寄りのココイチ(カレー屋)でバイトしながら平凡な大学生活を過ごしていました。一方、当時50歳だった朝野美代子(以下:オカン)も、専業主婦として平和な日々を過ごしていました。

二人の運命を大きく変えたのは9月。
まもなく大学3年になろうとしていたワタルは、周囲の仲間たちと同じように将来の進路について考えるようになります。「自分は何になりたいのだろう?」「一度しかない人生。悔いの残らない人生を送りたい。」・・・悩み考えた末に辿り着いた答えが、『人を笑いで喜ばせられる人間であり続けたい』ということ。そして、【漫才コンテストの最高峰「M-1グランプリ」への挑戦】でした。ワタルは【M-1挑戦】の夢を叶えるために相方探しを始めました・・・。

1-2.png ・・・M-1エントリー締切が刻々と迫っていました。 しかし、就職活動を控えた周囲の仲間の中には、ワタルの相方を引き受けてくれるものはどこにもいませんでした。漫才は一人ではできない。でも相方が見つからない。ワタルは白紙のままのM-1エントリー用紙を見つめながら、家の台所で意気消沈していました。そして、その場にいたオカンにせっかく見つけた目標に挑戦することができないやりきれない悔しさを告白しました。 「M-1に出たいんやけど相方が見つからへん。どないしよう。」 オカンは困り果てたワタルを見捨てることができませんでした。すると、顔を伏せていたワタルの右肩を、オカンが優しくたたきました。振り向いたワタルに、オカンはこう言いました。 「ワタル。ほなオカンが相方になるから。一緒にM-1出よう。名前どこに書いたらええの?」

・・・かくして、人を笑いで喜ばせたいワタルの夢への情熱と、息子の夢を叶えてあげたいオカンの深い愛情によって、史上初の母子漫才コンビ「ワタルwithオカン」は、2005年8月28日に結成されました。しかし、時はすでにM-1予選本番2週間前まで迫っていました・・・。

1-3.png ・・・9月11日、迎えたM-1初挑戦。 「ワタルwithオカン」は本番2週間前に結成した急造コンビであり完全な素人コンビでした。そんな中、体型を活かしたオカンが力士の着ぐるみになり、息子がそれを着るという設定で初めてのネタを披露しました。確かに結成は本番2週間前でした。しかし、ワタルとオカンがともに過ごしてきた日々は20年。また、オカンが着ぐるみになり、ワタルがそれを着るという設定も、実際にオカンのおなかの中にいたワタルだからこそ発揮できる絶妙なバランス感覚がありました。その結果、オカンの体当たりボケと、ワタルの絶妙な間のツッコミに、会場は大爆笑に包まれ、見事に1回戦予選を突破しました。さらには、予選1回戦各会場において、最も印象に残ったアマチュアコンビに贈られる「NTT西日本賞」まで受賞しました。

残念ながら、「ワタルwithオカン」は「麒麟」「笑い飯」「千鳥」などのシード組も参戦する2回戦予選で敗退しました。しかし、過去に前例のないその母子漫才コンビは、一夜にして大阪のお笑いフリーク達に強烈な印象を残し、その存在を知らしめることとなりました。

第2章 NSC(=吉本総合芸能学院)入学

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2006年春。ワタルは本格的に笑いの道に進むべく、高校時代から憧れていたNSC大阪校への入学を決意し、願書を提出します。しかし、昨年のM-1によって笑いに目ざめたのはワタルだけではありませんでした。M-1で相方を務めたオカンは、「たくさん笑ってもらえたことでこれまでの生活にはない充実感を得られた」ことで、ワタルに内緒でNSCに出願していたのでした。ちょうどワタルwithオカンが入学するNSC29期より、「25歳以下」の年齢制限が撤廃されていたため、初の親子そろっての入学が決まりました。オカンの51歳での入学は、もちろんNSC史上最高齢でした。体力的にも不安もありました。しかしそれ以上に、「だれや、このオバハン」という周囲の空気がありました。しかしオカンは、「NSCにワタルと入れてもらえて本当に幸せ」という思いをかみしめながら、発声練習やダンスに取り組み、ワタルが大学の授業で来られないときも、1人でレッスンに出席しました。ワタルのほうも、「最初はマザコンやと思われて辛かったけど、しだいにオイシイと思うようになった」と大学とのWスクールをオカンとともに精力的にこなしました。また、自宅でも二人は“うまい棒”のパンチングドールをマイクに見立てて猛練習に励みました。

2-2.pngその成果は少しずつ形になりました。
■「ワッハ上方アマチュア演芸コンクール」で審査員特別章受賞
■「新人お笑い尼崎大賞」で奨励賞
と、たて続けてアマチュアの漫才コンクールでの受賞を果たしました。

また、その母子漫才コンビの活動の波紋は少しずつ広がり、メディアからの注目も少しずつ上がってきました。
「女性自身」「神戸新聞」「産経新聞」「サンケイスポーツ」などの紙メディア、そして「ザ・ワイド(日テレ)」「スーパーJチャンネル(テレ朝)」「スーパーニュース(フジ)」などの情報番組で特集を組まれるようになり、大阪のお笑いフリークだけではなく、少しずつ全国にその知名度は上がっていきました。この頃から、ワタル自身も「親子漫才 ワタルwithオカンの成長」なるブログをスタートさせ、自身の認知UPへの活動を開始します。

そして迎えた2回目のM-1挑戦。しかし、結果は2年連続での2回戦敗退・・・。アマチュア内での戦いには勝てても、シード組が加わるプロとの決戦になる2回戦では勝てない現実。ワタルwithオカンは実力不足と、さらなる努力と成長の必要性を感じます。

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2007年3月。しかしながら、1年通ったNSCを親子で無事卒業。同時に、いよいよ若手芸人のホームグラウンド「baseよしもと」の舞台に挑みます。若手芸人の登竜門であり、このオーディションに合格することで、吉本とプロ契約ができるのです。ワタルが彼女の誕生日にプレゼントする花は何がいいかをオカンに相談する「花」のネタ。オカンのダイエットエピソードを実話に基づいて話す「オカンの自己紹介」のネタ。パターンを変えて、「baseよしもと」の舞台に何度も挑むワタルwithオカンですが、オーディション合格には至りません。しかし、ワタルwithオカンは挑戦することをやめません。

二人はTVの特集内で次のように答えています。
ワタル「1日でも長く、オカンと『ワタルwithオカン』を続けていきたい。」
オカン「漫才を通して、“親子のあたたかさ”をワタルと伝えていきたい。」
日常生活がベースの二人のネタ。ワタルがツッコミ、オカンが体を張ってボケる。笑いの一方で、母子の仲のよさも伝わってくる不思議な漫才。本当の勝負はこれから・・・。

第3章 母子漫才 東京へ

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2007年9月。
NSCを卒業してお笑いの道を突き進むワタルwithオカンも芸歴2年目(NSC入学よりカウント)を迎えます。M-1も3回目の挑戦になります。2年連続で2回戦敗退していることから、「今年こそは3回戦以上の進出を!」と意気込んで臨みました。しかし笑いの世界は甘くありません。・・・オカンの大きな動きを封印して臨んだ1回戦、結果は初の1回戦敗退でした。ワタルwithオカン結成以来、最大の挫折でした。しかし、M-1はエントリー期間内であれば再挑戦できます。ワタルwithオカンは諦めませんでした。そして、慣れ親しんだ大阪の舞台をあとにし、戦場を東京へ移しM-1再挑戦を決意します。
 
初めての東京。初めての渋谷。初めての舞台会場。大阪と違い、ほぼ完全無名での登場。大阪に比べ、笑いのパターンが多く、シュールな漫才が多いとされる東京のお笑い。また予選最終日であることもあり、出演者のほぼ全組が再挑戦組。そんな厳しい状況の中、ワタルwithオカンは今までで最も二人がやり込んできた「花」のネタで勝負しました。・・・結果、渋谷の会場が大爆笑で包まれ、見事に1回戦を突破しました。そして、ワタルwithオカンは3度目の2回戦挑戦権を得ました。
 
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しかし、2回戦からはシード組が参加することから、客の質も変わると言われています。TVでお馴染みの有名なコンビを目当てで見に来る客を相手に、
有名コンビに引けをとらない大爆笑を取らなければなりません。しかし、ワタルwithオカンは1度敗退した身であることから、臆することなく東京2回戦に臨む決意を固めていました・・・。日を改めて原宿で臨んだ2回戦。・・・残念ながら、ワタルwithオカンは3年連続の2回戦敗退となりました。しかし敗戦したとはいえ、 東京での初舞台で手応えを感じたワタルwithオカンは、その夜、すがすがしい様子で 東京の居酒屋にいました。初の東京舞台のネタの振り返り、今回のM‐1のエピソードの話は尽きることなく続きました。その様子からも、二人の充実感が伝わってきました。

オカンは前回1回戦を突破したときに「幸せ」と言っていました。 オカンは今回2回戦で敗退したときも「幸せ」と言っていました。 ワタルと漫才をしていること。そして家族で居酒屋にこれることをオカンは「幸せ」と言っていました。M-1で敗退したことは確かに悔しい結果です。 でもその悔しさ以上に、 の期間の親子の触れ合いの時間が、 オカンにとっては何よりも幸せだったようです。
 
M-1が2007年のワタルwithオカンにとっての仕事納めでした。二人は幸せな気持ちに包まれたまま、2007年の活動を終えることができる・・・予定でした。しかし、二人は東京で強豪コンビを前にして残した自分たちのインパクトをこの時点で理解していませんでした。
 
 
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母子漫才コンビの衝撃は、関係者の間でまたたく間に広まりました。まもなくして、ワタル
withオカンは芸人として怒涛のTV出演ラッシュを果たすようになります。

第4章 バラエティ番組出演

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2007年11月。
ワタルwithオカンはM-1東京予選2回戦で敗退しました。しかし結果として、母子漫才「ワタルwithオカン」の名前を東京に轟かせることとなりました。そして、2007年の年末にかけてTV出演のオファーが相次ぎます。
 
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■「あらびき団」
11/7 放送)
オカンのみが出演。
一発ギャグ「よいこよいこ」「台風14号」「目あかないあかない」「馬」などを披露して存在感をアピール。
 
■「HOT FANTASY」 12/11放送)
お台場紹介番組にフットボールアワーと共演。オカンと岩尾さんが最終的に結ばれてキスをするというオチ。
オトンはこの事実を知らない。
 
■「笑っていいとも!増刊号」 12/16 放送)
「金のたまごクラブ」というコーナーで「あらびき団」で披露した芸に一夜漬けの「首フラフープ」を追加してワタルと披露。
紹介者として東京在住の兄も出演。
 
■「笑っていいとも!増刊号あけおめSP」(1/4 放送)
前回の「金のたまごクラブ」の正月スペシャルで再登場。「ザブングル」など他7組と共演。
本番1週間前に「正月のネタ」という注文を与えられて披露するオファー漫才に初挑戦。
正月の親子の風景を母子漫才で披露。前回同様、兄も便乗出演。
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今まで情報番組のみの露出だったワタル
withオカンが、芸人としてバラエティ番組にたて続けて出演します。M‐1トップ芸人である「フットボールアワー」「ザブングル」との共演、東野幸治さん、藤井隆さん、タモリさん、勝俣州和さん、ガレッジセールさん、劇団ひとりさんの前でのネタ披露などにより、TV関係者のみならず、先輩芸人の方々からも認知・注目を集めるようになります。
 
「偽り」で象徴された2007年。その中で、一切の偽りのない真の母子漫才「ワタルwithオカン」はTV出演を果たし、加速度をつけて輝きを増そうとしています。ワタルwithオカンの周りには少しずつ人も集まるようになってきました。そんな人たちに、オカンはあめちゃんを配ります。それを見て、ワタルは「あめちゃん出た!」と突っ込みます。このあめちゃん配りは、オカンがデビュー当初から、いや普通の関西のおばちゃん時代から行ってきた活動です。変わらない、そして飾らない二人のあたたかい母子漫才が、周りの人をもあたたかくしていきます。
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